戦後の日本と音楽について深~く語る「Saku’s Pop Culture Club #2 」が開催されました。

こんにちは!高橋です!

みなさんはスタンダップコメディをご存知ですか?
簡単に言うとマイク一本で会場の観客を楽しませるパフォーマンスのことです。詳しくは第1回で解説しています。(→こちら)

スタンダップコメディは政治や社会に対する風刺をネタに取り扱うため、それらに対するバランス感と歴史的な深い知識が必要となってきます。誰も傷つけず笑いをつくる、まさに笑いの鑑。役者さんの広く深い知識と公演中ずっと気を張り続けることのできる集中力は圧巻の一言です。

この二つを持ち合わせる人が語る、サブカルチャー論……おもしろくないはずがない!!ということで第2回「Saku’s Pop Culture Club」の模様をお届けしていきます!

 
第二回のテーマは「戦後のポピュラー音楽と日本」。
お話してくれるのは、シカゴと東京を拠点に活躍するコメディアンSaku Yanagawaさんです。

 

(提供)Saku Yanagawa氏

 

大阪大学在学中に単身渡米し、スタンダップコメディの舞台に立ちはじめたSakuさん。
渡米したきっかけはというと、アメリカで活躍する日本人のコメディアンをテレビで知ったこと、翌日にその人と連絡を取りアメリカに飛ぶという、いろいろとすごい人です。
以降アメリカでThe Second CityやLaugh Factoryなどの有名クラブに立つ傍ら、国内でも自身の作・演出・主演する”Saku’s Comedy Night”を定期上演。
昨年はアフリカでソロツアーも行ない、今回のようなワークショップも大阪大学やECCなどで数多く行なっています。
“Japan’s Comedian of The Year 2017”を受賞した実力派でもあります。

今回のテーマはだいぶマニアックな内容。海外から見た「ニッポン」というステレオタイプはどう作られてきたのか、それを音楽という視点から解説していくのが目的です。

すべてを書ききってしまうと、ものすごい量のボリュームになってしまうので要点を抑える形でレポートしていきます。それでは、どうぞ!

 

日本のステレオタイプってどんなものだろう


まずはこの2つのMVを見ることに。

 

この二つは「海外から見た日本」が表現されています。
歌詞や曲調などが日本テイストになっていますが、これらのミュージックビデオ(以下MV)は映像の中にも典型的な日本が描かれています。

アヴリル・ラヴィーンのMVでは、カワイイ、タワレコ、女子高生、スシ、日本酒などが描かれ、またバックダンサーの無機質で無表情なダンスは日本人の国民性を暗示しているといわれています。
ちなみにこのMVは2013年のものですが、アメリカ国内では「人種差別ではないか?」との指摘がなされ、ネットで大炎上となったようです。コワい……。

2つ目のMVでも同じようなことがいえます。こちらは炎上などはなかったようですが。
女性がカブに乗り買い物に出かける、魚市場に赴く、居酒屋で踊りだす等、海外の人が思い浮かべるだろうなというな、日本のイメージが表現されています。

では、なぜそのような「THE・日本」というステレオタイプができてしまったのでしょうか?

 

始まりは戦後復興期から


これらのイメージは第二次世界大戦直後、占領のためにやってきたアメリカ兵が発端となっているそうです。
今回例に挙がったのは当時ラジオなどで流行っていた「もしもしあのね」や「ジャパニーズルンバ」「ゴメンナサイ」。米兵が実際に発していたようなカタコトの日本語、アジア圏独特の音作りなどがアメリカで大ヒットしました。
 
さらに1957年、アカデミー賞を受賞した「サヨナラ」という映画では主演の女優・俳優が賞を受賞せず、悲恋の末、自殺を選ぶという西洋から見た日本らしさを演じた役者たちがそれぞれ助演男優賞・助演女優賞を受賞しました。この出来事に象徴されるように海外では偏った日本性が広まっていたようです。

今日に至るステレオタイプの背景には、このような経緯があったのです。

 
 
ですがこれらは終戦直後、かなり昔の話です。現代までこの「ニッポン的なイメージ」つまりステレオタイプを残らせた理由は何なのでしょうか?

 

答えはセルフオリエンタリズムにあった


とつぜんですが、みなさんは「ロック」と聞いてどんな曲が浮かんできますか?
 
仕事終わりの居酒屋で流れていたスピッツ「ロビンソン」、ラジオで聞いたMr.Children「HANABI」、最近で言えば、ニュースやCMで聞く機会が多かったであろう、映画『君の名。』の主題歌RADWIMPS「前前前世」などでしょうか。
読んでくださっている方それぞれに思い出の曲があると思うのですが、それらのアーティストは日本語で歌詞をつづっていることがほとんどでしょう。なぜか?
 
なぜならそれが現代ロックのメインストリームだからです。

 
 

1960年代、日本の音楽はそのアジアらしさ、日本らしさを武器にアメリカなどで大ヒットし、現在の音楽もこの流れを踏襲しているためメインストリームが日本語となっているわけです。このような自らの民族性を押し出すセルフオリエンタリズムの動きが、今なお残っている海外からの日本のイメージを形作った大きな要因となりました。
要するに過去の日本人が原因というわけです、自業自得ってことか……。

 

現代の日本といえば……?


現代の日本を語るうえで欠かせないのは、やはり「アニメ」でしょう。なぜ海外にもアニメはあるのに日本のイメージとして定着したのでしょうか?日本のアニメが作画・ストーリーともに優れていた、というのは言わずもがなですが、違った理由もあったとSakuさんは分析しています。
 
それは、日本人のバンドがアメリカでアニメになり大ヒットした、ということ。
皆さんはこのキャラクター、ご存じですか?

 

TM & © 2018 Cartoon Network. A WarnerMedia Company.

 
名前を知らなくても見たことはある、という方はいるのではないでしょうか?「パワーパフガールズ」という女の子3人が活躍するアニメ。

実はこのキャラクターたちのモデルは日本人なんです。大阪出身の3人組女性ロックバンドがアメリカで活動していたところ、アジア人ということ、女性3人、という珍しさが話題になり、その人気に目を付けたアメリカの会社が彼女たちをアニメ化したのがこの「パワーパフガールズ」というわけなんです。

他にも、日本の女性ボーカル二人組のバンドPUFFYがアメリカで人気となり主役となるアニメが作られたりと、日本のアニメと音楽は徐々に広がってきました。こうして、アメリカでの「日本ってアニメが盛んだよね」というイメージをつくられていったというわけです。

 
 
日本のアニメソングはこれまで多数の作品が世界的にヒットした楽曲が多数存在しています。今回のイベントではその中の一つである「るろうに剣心」の主題歌JUDY AND MARY の「そばかす」が海外のバンドによりカバーされている様子を取り上げ、Sakuさんは「音楽は言葉の壁を越えられる可能性がある」と語っていました。

 

次の活動は世界ツアー!!


今回はスタンダップコメディに関する内容ではなかったのですが、僕が音楽好きということもありとても勉強になったイベントでした。
また、専門の単語や人名などがわからなくても楽しめるように工夫したり、マニアックな動画を面白く紹介するなど、観客を飽きさせないSakuさんのプロコメディアンとしての一面も感じることもできました。全編を通してとても分かりやすく、大学で講師をされているということも納得です。
 
Sakuさんは今後、2018年8月に世界最大のアートフェス「Edinburgh Festival Fringh」に出演。1か月休みなしの公演に臨み、その後にアフリカ、ヨーロッパなど巡るツアーを敢行されるそうです。
(そのため連続講義は今回で一旦終了し、9月から再開予定となります)
 
そんな多忙なSakuさんの夢は、アメリカの長寿コメディ番組「Saturday Night Live」のレギュラーになること。近い将来このようなイベントの場ではなく、テレビで活躍するSakuさんを見かけることもあるかもしれません。
 
Sakuさんの今後の活躍に期待です!!

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