非常識を常識に。シリコンバレーの仕組みを地域へ。「ローカルの課題解決をシリコンバレー経由でグローバルに輸出するには?」開催しました

シリコンバレーのインフラを活用し最新技術を世界に向けて発信する一方、日本人としての繊細さや質の高さを守りながらビジネスを行っている「B-Bridge」。日本とアメリカのビジネスを繋ぎ、世界中に日本の人材、技術、文化を広める架け橋となることをミッションに掲げています。
 
日本とアメリカ・世界をつなぐ彼らとコラボしたイベント「B-Bridge × ローカルの課題解決をシリコンバレー経由でグローバルに輸出するには?【我楽田アイデアソン】」を我楽田工房ギャラリーにて開催しました。
 
日本が抱える社会課題で特に深刻なのは、高齢化・過疎化。その進行度合いは世界的にみても群を抜いている状況です。それらの課題を東京ではなかなか実感する機会がありませんが、社会課題を解決する仕組みを作り上げればビジネスチャンスに繋げることもできます。
自らが体験していない課題をビジネスに繋げることは難しいとの考えから、ボノ株式会社では地方自治体と連携し、地方をフィールドに企業が社会課題を解決するプログラムの提供を開始しています。
 
今回のイベントでは、地方に多数の繋がりを持つボノ株式会社の取締役・谷津と、日本とシリコンバレーを繋げている株式会社B-Bridgeの代表・桝本氏が「どローカルからグローバルへ」をテーマに対談。課題に直面している日本だからこそ組み立てられる仕組みと、世界に対して発信していく方法を考えていきます。
 

▼地域にこそ社会課題はある


 

 
▲谷津 孝啓
ボノ株式会社 取締役

大手通信会社、菓子メーカー、電機メーカーの新卒採用・新規事業プロデュース・企業ブランディングを手がける。
都会在住の大学生と地方で活躍するキーマンを繋ぎ、継続的に大学生が地域に通う「まち冒険」を立ち上げ、3年間で500名の大学生と15の地域が交流する仕組みづくりを行う。
現在は地域おこし協力隊の地域での関係づくりツール「キーマンSTORY」を活用した起業支援など、地域コミュニティの活性化に携わる。
京都三大学教育教養研究・推進機構の宿泊研修のアドバイザーも務める。

 
谷津:今回はB-Bridge×ボノで、ローカルの課題解決をシリコンバレー経由でグローバルに進めるというテーマで行っていきます。
 
我々は、大学生に地域でフィールドワークをしてもらう“まち冒険”や地域おこし協力隊のスタートアップ支援など、自治体と組んで活動することが多いです。企業と一緒に地域にある社会課題をテクノロジーで解決していく、という事業も行っています。ですが地域に入っていろんな課題を解決しようとしても、地域に対してのプレゼンテーションで終わってしまうケースが結構あるんですよね。このことで悩んでいた時にB-Bridge 桝本さんと出会って「シリコンバレーはチャレンジの場所だ」と教えていただき、プレゼンするべきはシリコンバレーなのではないか? と考え、イベントを開催しました。
 
いま日本が掲げている国家戦略の中に「Society5.0」というものがあります。価値創造社会とも言われ、これまでとは違った方法で価値を生み出していこうとするものですが、これが非常に難しい。日本の背景的には作れば売れる時代が長く続きすぎたという状況があります。どれだけ効率よく回すかが価値だったので、新しいものを作らなくても出世できてしまった。なので新しい価値にコミットすることのできる人がとても少ないんですよね。
 

 
谷津:もう一つ、お伝えしたいことがありまして、こちらは内閣官房が出している資料の抜粋なのですが、『日本は課題先進国』と謳っているんです。それらを解決するためには、現場を変えることのできる人材が必要だ、と。
 
その現場がローカルなんですけど、ローカルの課題って実際にその場所に行かなければわからないんですよ。体感しないと分からない。でも先ほどお話した、新しい価値にコミットできる人は東京に多い。ここが繋がらないというのが最大の課題だと思っています。
アジアの起業家なんかは日常的にとんでもない課題に直面していて、解決のためにサービスを作っている。彼らは5年以内にさらに素晴らしいサービスを生むのではないか?と注目されていて、じゃあ日本はどうなんだと。
 
ぼくらも日本で課題が体感できる場所はローカルだと考えていて、企業向けに従業員が地域に出向いてフィールドワークをする事業を行ったり、自治体向けには企業が技術を発揮したいと思えるような見せ方をする企業誘致のアップデートのような事業を行っています。二つの事業で企業と地域を結びつけようとしているんですね。
 

 
谷津:これらをしていくなかで、ぼくらの事業をもう少し引き上げることができるんじゃないかと思っていたんですね。そんなときに桝本さんと出会って、シリコンバレーを経由して課題解決の可能性を世界に伝えていくことができるんじゃないかな、って本気で思ったんです。プロトタイプができてから、製品化されてからじゃなくて、構想の段階でどんどん世界にPRしていきたいと思っています!
 
このあとシリコンバレーについて、そしてB-Bridgeの活動について桝本さんに紹介をお願いしたいと思います。
 


「極めて非常識」シリコンバレーのチャレンジマインド


 

 
▲桝本 博之
B-Bridge International CEO

同志社大学商学部卒業、85年に東洋紡に入社。当時の新規事業部門であった生化学事業部に配属され、国内業務を経験した のち海外向け販売業務と海外メーカーとの契約交渉を手がける。
1996年、シリコンバレーの研究用試薬メーカー(CLONTECH Laboratories, Inc)にInternational Sales Managerとして渡米。43カ国の地域への販売代理店整備や、ドイツ、イギリス、日本での現地法人設立を実施。当時 の日本現地法人クロンテック㈱の代表取締役も兼務した。
2000年に独立し、バイオ試薬流通の革命を起こすべく、B-Bridge International, Inc.をシリコンバレーに設立。
2003年以降、更なる「Made in USA by Japanese」を目指し、インキュベーションビジネスや独自のR&Dを行っている。インキュベーションに関しては、経済産業省の外郭団体JETROと共同でバイオテックのラボをMountain View市内に構え企画運営も経験。 Stanford大学発Avocel, Inc.(後のBenitec, Inc)や名古屋大学発のストレックス㈱はB-Bridgeのポートフォーリオ会社である。
2006年よりグローバル人材育成支援の一環として、日本人大学生、社会人、企業人を対象にした、教育サービスを展開。
2014年には教育、研究開発のさらなるアクセラレーションをテーマにした教育組織Silicon Valley Japan University(連邦政府承認NPO法人)を立ち上げ、米国での4年制大学創設に向けて活動中。日本の技術を世界に迅速に紹介するべく、「がんばれ日本」をモットーに活動している。
元Silicon Valley Japanese Entrepreneur Network会長、2003年度NHKのど自慢グランドチャンピオン。

 
桝本:我々の活動紹介の前に、シリコンバレーがどんな場所か説明していきたいと思います。一般的にはIT企業っていうイメージがあると思うんですけど、それだけじゃないんです。
 
まずヒトのお話をしますが、とにかく田舎です(笑)
ですが住民の60%がアメリカ人から見て外国人で、メキシコ人、台湾人、中国人、日本人など、非常に多くの人種が暮らしています。
なので僕らからしたら非常に暮らしやすいですね。外国人ということを意識しなくていいので。
次にモノ。確かにIT企業は多いです。しかしITだけではなくバイオなどハイテク産業が非常に多いんですね。すごいのが特許の申請の割合です。全米の5件に1件、約20パーセントの特許の申請がこのエリアで行われているんです。
最後にカネ。1800億円くらいが日本の年間の投資だと言われていますが、アメリカはこの額を3週間で行います。1カ月で約2200億円ほどに上るそうです。
 
すごくたくさんのお金があって、技術がいっぱい集まり、技術を使ってビジネスをしたい人達がいっぱいやってくる。そして多様性が生まれる。ここでまた新しい産業が生まれるとお金が動いて、という風にグルグル回ってます。これがシリコンバレーのエコシステムです。
 

 
桝本:日本で1年間かけて行う投資を、3週間で行うスピード感もシリコンバレーの特徴です。3週間で決めたことですので、もちろん失敗するんですね。でもまあいいや、行っちゃえ、行っちゃえ、ってやってしまうんです。もう極めて非常識ですよね。
 
失敗を容認する文化もあって、「フェイルファスト」という用語があります。簡単に言うとコケるなら早めにコケましょう、という意味ですね。階段で例えると1段目で落ちてもケガはしないので許す、さすがに10段目から落っこちたら日本と同じで怒られますけどね。
常識がない、というのも感じています。例えば家に来て、アメリカ人は握手をしてそのまま入っていくんですね、ちょっと待って、靴脱いでくれ、と。日本人の家ですからね。一方で中国人の人とかはその辺でボンって脱ぐんですよ。挙句の果ては、家が近所だったから靴はいてこないメキシコ人とかね。極端な話ですよ。
 
日本は失敗したらあかん、という風に、狭い細い道をまっすぐ歩くっていうことがよしとされる。シリコンバレーは単純に言うと、この道が広い。要するにまっすぐ歩こうが、上のほう歩こうが、グネグネ歩こうが、全然かまわないわけですね。飛びぬけてようやく人は見るんです、「なんやこいつ!!」って。それがアップルだったり、グーグルだったりするんです。
 

 
桝本:常識がないというか、常識っていわれるものを学ぶ必要もないっていうのが、シリコンバレーの常識なのかもしれませんね。
 
あと歴史のお話もしておきます。サンフランシスコフォーティーナイナーズ(San Francisco 49ers)というチームをご存知ですか? アメフトのチームなんですが、このチームは1849年という年をとても大切にしています。1849年はゴールドラッシュの年なんです。ヨーロッパや中国からとてもたくさんの人がゴールドラッシュに向けてやってきました。誰かがポロっといった一言が世界中にブワーっと広がって、サンフランシスコの人口が当時600人くらいしかいなかったんですけど、なんとこの1849年だけで30万人くらいの人たちがやってきました。住み着いた人たちは3万5千人といわれています。非常に多くの人たちが集まった地域なんですね。あえて悪い言い方しますが、クソ田舎でですね、そんな地域にたまたま金が出ていろんな人が集まってくるっていう現象が起こったわけですよ。そうして集まった外国人がゴールドラッシュで成功していったわけです。
 

 
桝本:ローカルでもたまたまなんかあれば、集まってくる可能性はありますよね。現代ではそれは石炭でもオイルでもなく、産業なんだと思っています。
 
今は安定した企業が駐在員をシリコンバレーに送り込み、何かないかな、誰かいいものつくってないかな、って探してばっかりいるんです。そうじゃなくて、こんなんあんねんけど売ったらいいねん、こんなん見たことないわ、っていうような勇気をもって、向こうへ持ち込んで成功していく。
シリコンバレーにあるITを日本に持ってくるでは、ローカルは何も変わらないと思うんですね。シリコンバレーにローカルから持って行って、見たことないやろ、食べたことないやろ、っていうものであえて勝負していく。例えばカフェが3店舗もある交差点で、お店開くなら、日本人はみんな次にコーヒー出しますって言うかもしれません。でも無理でしょ。絶対勝てないじゃないですか。だからぼくは富士そばでしょ、って言います(笑)
とにかく違うものをもっていかなきゃいかん。
 
僕らの活動は、挑戦する場であるシリコンバレーの活用方法を提供する、そんな事業を行っています。
 


シリコンバレーと地域、両者を結びつけるためには?


 
谷津:初めて桝本さんと出会ったときに、皆さんと同じ、ぼくもITって言ってたんですけど、シリコンバレーの本を読むにつれて、チャレンジを容認する文化を作るっていうのは大切なんだなって思ったんですね。でも、まだまだ地域にはものすごいしがらみがあるので、例えばシリコンバレーの環境に1回身を置くことによって、文化を輸入できないのかな?っていうのが今僕がやっていきたいチャレンジなんですよね。
 
桝本:シリコンバレーはデザイン思考なんですね。一番最初、共感から始まりニーズありきの世界を作ろう、と考えるんです。シリコンバレーにウケているものはシリコンバレーを通して世界に求められているモノということ。なのでシリコンバレーに今ウケているものはなんだ、と考えている人たちは多いです。
 
シリコンバレーはこれいけるかな……? というトライアルができる環境です。だからデザイン思考の中にある、試作品を作ろうという発想がウケやすい場所なんです。
 

 
話はシリコンバレーの挑戦しやすい仕組みを日本に浸透させるにはどうしたらいいのか?という方向へ進んでいき、B-Bridgeと行政の事例を紹介していただきました。
 
桝本:うちでは長く、インターンシップを受け入れています。あるインターンシップの子に出身を聞いたら「愛媛県の内子町です。」って言ってきたんです。当然ぼくは愛媛県内子町を知らなくて、だけどいろいろと調べると和紙があったり、ろうそくがあったりとか、いいところだったんですよね。
そこでインターンシップの女の子に、内子町長につなげてくれ、って頼んで。お父さんお母さん、お兄ちゃんお姉ちゃん、みんなに聞いてもらって、つながることができました。
 
内子町には小田高校という高校がありまして毎年28人しか入ってこない学校なんです。もし3年間連続で28人以下になった場合、高校は廃校になってしまう。なので何か夢のある高校にしたいと町長さんはおっしゃっていました。でしたらシリコンバレー来てください、っていうのはなかなか難しいけれど、シリコンバレーから授業するなんてどうですか? と話をして、3年ほど前から年に1回遠隔で授業をおこなっています。今年は直接学校に行って授業をさせてもらい、最終的には予算をとっていただくこともできました。
 

 
桝本:地方には、何か変えなければならないと思ってもやり方がわからない行政の職員さんがたくさんいます。シリコンバレーに直接行くことが難しいんだったら、内子町のように、まずシリコンバレーと地方を遠隔でつないでみればいいんですよね。
 
桝本:ふらっと行ってふらっと帰れる感覚で、シリコンバレーに来てほしいなと思っています。そして同じような感覚で東京からローカルに行ければ、おもしろくなっていくでしょうね。
 

 
谷津:ぼくらは地域おこし協力隊のスタートアップ支援をしていたり、地域の事業づくりの支援をしていたりするので、地域の中にガッと入って活動する機会は多いんですよね。その中で感じるのは、知らないものに対しての抵抗力。
 
茨城県の話なんですが、桜で有名な街があったんですよ。日本人は桜がそこら辺にあるのが当たり前なんですけど、海外の人にとってはそうではない。なので中国からさくらの原料が欲しいという話を受けて、これはビジネスになるぞ、と話を進めていった女性がいました。でも地域の人たちに、桜なんてカネにならない、やったことない、と大反対されてしまったんです。
しかし賛成している人もいました。彼らが賛成してくれた一番の理由は、Uターン。地元の子たちが帰ってくるきっかけになることでした。そこで事業の目的を「お金になる」から「子どもたちのために」と変更したら地域の方々の理解をすんなりと受けることができたんです。
 
谷津:海のものか山のものかわからないような企業と組んで事業を行う、ってなると絶対に彼らは反対します。でも地域の子どもたちのためにという文脈に変えたら、今まで反対に回った人たちが「間違いなくやった方がいい」と言うようになったんです。よそ者・はみ出し者に対するしがらみが強いところでは、地元の子どもたちの未来を作るっていう目的が受け入れられるんですよね。
 

 
終盤、参加者の方から「仕組みも考えもおもしろいが、自分の中で具体的な例が出てこない。」という感想に対して、桝本さんがコメントしました。
 
桝本:例えば、いろいろな外国人をローカルに連れてって、彼らにおもしろいと思うものを捜してもらう? いいもんどんどん見せて、これがダメとか、でもこれはいい、とか。世界をみてる人がシリコンバレーにはたくさんいますから。
 
谷津:地域を見てもらうという意味で、ゲストハウスってすごく重要なポイントなんじゃないかなって思うんですよね。バックパッカーたちってゲストハウス目当てに来ますから、ゲストハウスが1軒できるだけで、地域に外国人がめっちゃ増えるんです。ゲストハウスのような多様性のあるコミュニティスペースを作っていくと、社会課題をビジネスにしていく過程で、すごいヒントになる可能性がありますよね。
 
桝本:ぼく、実は富山でゲストハウスやっているんです。このゲストハウスにはあえてキッチンを作っていない。なぜなら街に出てご飯を食べてもらいたいから。大した利用頻度ではないんですが、外国人の方が結構来られます。そしたら近所の寿司屋のおやじから年賀状がきたんです。
「君のおかげで見ず知らずの外国人がたくさん来て、私この年になってすごい楽しいよ。」
って書いてくださったんですよね。その町の外国人に対するイメージもだいぶ変わったんです。
 

 
谷津: 自治体との付き合い方をアップデートしなきゃいけないっていうのは、ほんとに日本企業に伝えなきゃいけない、と思っています。自治体はクライアントではなく、課題解決のフィールドなんですね。逆に自治体の方にお願いしたいのは、広報していただくこと。
付き合い方の概念をアップデートしていくことができれば、新しいものが生まれてくると思っています。そういう付き合いを生み出していけるようなムーブメントを起こしていきたいなと思っています。
 

 

 
シリコンバレー=ITのイメージが見事にひっくり返った今回のイベント。極めて非常識、という言葉が印象的でした。
 
我楽田アイデアソンでは、新たな時代の価値づくりに向けた活動を今後も広げていきます。
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