雑司が谷探放記

雑司が谷
という街のイメージは、墓だった。夏目漱石の墓が雑司が谷霊園にあるのだ。

そんな街についこの間、引っ越した。
築50年のマンション(一説には古民家の定義は築50年以上らしい。計らずも古民家デビューをした訳だ。)で、なかなか素敵な佇まいをしている。

初めての一人暮らしなので、色々とまぁドタバタするけれど今日はそんな話をする気はない。

雑司が谷というのは、意外といい街なのだ。

誰だ、豊島区は消滅可能性都市だなんて言ったのは。とても住みやすいいい街じゃないか、と。

まず徒歩圏内にスーパーとコンビニと百均と焼き鳥屋とカクヤスとコインランドリーと神社がある。
あと、少し歩けば池袋の繁華街の端に着く。都電荒川線にのればあっという間にサンシャインシティに着くので、衣食住に困らない。
地下鉄副都心線が通っているので、渋谷 新宿 横浜まで乗り換え不要だ。埼玉方面も乗り換えしないでいい。

そして夜も静かだ。

鬼子母神神社の裏には音大があるから、たぶん教養高い音楽鑑賞もできる。かっこいい。
まだ出会った事ないけど、音大の女子大生はのだめカンタービレみたいな感じなんだろう。
上野樹里は趣味じゃないけど、可愛いと思う。

何よりも気に入っているのが、駅前のコンビニがポプラだということだ。セブンイレブンでも、ファミリーマートでも、ましてやローソンでもない。
ポプラだ。
実に平和な感じがする。

ついこの間、5分も歩けばスーパーに着くのにその手前のポプラで味噌とコショウを買ってしまった。もちろん、1種類ずつ(味噌は減塩と普通のがあったが)しか置いていない。

果たして人生の幸せとは何だろうか?

資本主義は「選択すること」こそ正義だと言っている。所持金の範囲内で、より多くの選択肢を作る。自分にぴったりの一品がある、そんな幻想を吹き込まれながら毎日平均6割5分の満足で自分を納得させて生きていく。
それが幸せなんだろうか?
いっそのこと、選択肢なんて無い方がいいんじゃないだろうか?

味噌も
コショウも
醤油も
塩も

選べるという発想がなかった時の方が、実は幸せだったんじゃなかろうか。

雑司が谷に住む誰もが、きっとこんな悩みにぶつかる。なぜなら駅前にはポプラがあるからだ。

そんな雑司が谷は、本当にいい街だと思う。

ライター

Writer

齋藤和輝

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