飲んで地域をつなぐ ってどういうこと?−わるわるさん|弁護士カフェ Vol.36 レポート

初夏の気配が漂いはじめた5月18日、弁護士カフェ Vol.36 が我楽田工房で開かれました。今夜のゲストは、文京区のコミュニティを縦横無尽に渡り歩く"横串"な存在、石井渉さん(通称:わるわるさん)。3月に胃がんを公表し、4月に胃の3分の2を切除する手術を終えたばかり——でも手元にはワイングラスが揺れていました。

弁護士カフェは「飲んで備える」がコンセプト。弁護士をはじめとする専門家と顔なじみになり、いざという時に相談できる関係を日常の中につくることを目指して月1回開催しています。「法律相談もしない、基本的には飲み会」と弁護士・北永久さんが笑いながら語るように、今夜もにぎやかな交流が始まりました。

わるわるさんがスライドを使って胃がんの経緯を説明
わるわるさんが手術の経緯をスライドで説明。入院中に撮り続けた写真の数々に、会場は笑いと驚きに包まれた

「胃カメラ、絶対オススメします」——発見から手術まで2ヶ月

1月下旬の誕生月検診で偶数年に選べる胃カメラを受けたわるわるさん。「これ怪しいから取っておきますね」と内視鏡中に医師に告げられ、2月中旬に「胃がんです」の電話が来ました。自覚症状はゼロ。「全然症状を感じてなくて、おかげでしっかり心配せずにお酒もいっぱい飲めてた」と笑顔で語ります。

3月下旬に手術説明を受け、4月に胃の下3分の2を切除。ラパロスコピー(腹腔鏡)手術でお腹に5か所の穴を開け、取り出す際だけ上部を5センチ切ったとのこと。術後は12指腸を経由せず小腸に直結するルートに変わったため、炭酸飲料が今は大敵。「ビールが一口でウーってなる。でもワインは大丈夫!」と宣言し、焼酎グラスを片手に語り続けました。オクトーバーフェストまでには必ず飲めるようになると固く決意している様子です。

ヒマラヤ登山の写真スライドを映している場面
かつてナンガパルバット(標高8,125m)に挑んだことを語る。7,350mまで到達した基礎体力が、今回の驚異的な回復を支えたのかもしれない

術後当日に歩き、10日で退院——ヒマラヤ登山で培った基礎体力

驚いたのは回復の速さ。集中治療室で術後半日が経った頃、「立てますか?」と聞かれて立ち、「歩けますか?」と聞かれて廊下の端から端まで歩いた。看護師さんたちが「こんなことってあるんですか」と驚いたとのこと。本来14日の入院が10日間で退院(PTA会議に出るため)。

その秘密として取り出したのが、若い頃のヒマラヤ登山の写真。大学山岳部OB会のパーティーで、パキスタンのナンガパルバット(世界12位、標高8,125m)へ。「29歳最後の思い出に行くか、という程度で会社を3ヶ月休みました」と笑いますが、7,350mまで到達した経験は確かな基礎体力として今も体に刻まれているようでした。

参加者との懇談場面
プレゼン後は恒例の自由な懇談タイム。わるわるさんを囲んで、地域活動の話や健康診断の話で大いに盛り上がった

「横串」の正体は、飲み会の積み重ね

「私には、どこどこの誰だって言える拠点がないんですよ」とわるわるさん。「横串」という言葉は我楽田工房の横山さんから贈られたものだそうですが、確かにその活動域は縦割りのコミュニティをひょいひょいと越えていきます。文京建築会ユース、第三中学校のPTA会長、青少年健全育成会の理事、養源寺マルシェ、タミー、HONGO22515、さきちゃんち、文京BASE……それぞれメンバーが重ならない場所に、わるわるさんという共通項が一本通っている。

「結局、毎月飲んでるんですよね」と本人が笑います。PTA連合会の打ち合わせ後も飲む、育成会の理事会後も飲む、イベントの仕込みが終わっても飲む。「打ち合わせが終わったからいつも飲む、イベント大好きで打ち上げ大好き」——その積み重ねが、文京区の異なるコミュニティをゆるくつないできた横串の実体でした。

「楽しんでると、がんの細胞もどっか行ってくれるだろう」——そう笑いながらワインを傾けるわるわるさんを見ていると、人が地域に根を張るとはこういうことかと思います。弁護士カフェは毎月1回、我楽田工房にて開催中。次回もぜひお気軽にご参加ください。

当日の様子