“ステキな街”をつくりたい。建築家の海田修平さんに神田川アートブロッサムについてお話をお聞きしました。

今年で6回目を迎える“神田川アートブロッサム”。文京区だけでなく新宿区、豊島区などのお店を巻き込んで参加店舗は去年より増え、32店舗にのぼります。
 
3つの区にまたがっているイベントってすごいのでは?
でもなんでアートなんだ?
どんなことしたい。とか目標ってあるのかな?
 
去年のこの時期はまだ、インターン参加前で関われなかったこともあり、気になることがたくさんあります。
なので今回は“神田川アートブロッサム”の発起人であり、海田商店という個人のお店も行っている、建築家の海田 修平(かいだ しゅうへい)さんにお話を聞いてきました。
 
◆プロフィール
海田 修平(Shuhei Kaida)
カイダ建築設計事務所 一級建築設計事務所 代表
海田商店 店主
ミエケンジンカイ 会長
神田川アートブロッサム 代表
 
1974年三重県津市生まれ。三重大学大学院修了までの26年間を三重県で過ごす。大学院の間1年間だけは、スペインのバレンシア州立工芸大学に留学。旅行ができる程度のスペイン語を習得。日本に戻って来た後、東京で建築家を目指して7年間の修行生活を送り、2008年に独立。今年は独立して10周年となる。2013年に三重県出身建築家ユニット「ミエケンジンカイ」を結成。2018年からは、ワクワクする素材を扱う「海田商店」を立上げる。「建築」を軸に、「地域」や「素材」の魅力を発見し発信する活動を行なっている。

 
 
 
 


街と、人が、僕の中で繋がった瞬間でした。


 
―――今年で6回目となる「神田川アートブロッサム」。始まったキッカケを聞かせていただけますか?
 
 

 
キッカケはいくつかありまして。
まず一つ目は地方から東京に出てきて、僕がいま住んでいる“江戸川橋”という場所が、マイナーな地名だ。と感じたことです。知人に「海田さん、どこ住んでるの?」と聞かれて「江戸川橋です。」と答えてもだいたいの人がピンとこないし、伝わらない。
一方で住んでみると、神田川もあって桜もキレイだし、ワサワサと緑もある。おもしろいお店や写真スタジオ、美術館なんかもあって、おもしろい人もいて。環境的にはいい場所なのに、いまのマイナーな状況はもったいない。江戸川橋は “ステキな街”だと伝えたいし、もっと“ステキな街”にしたい。街を盛り上げるためになにかをしたかったんです。
 
二つ目は僕自身のことなんですけど、課題として“どうすれば人と会えるのか?”というのがあったんです。フリーで仕事をしていると何をしていいか、わからなくなってしまうんですよね。だから仕事の方向性、“どの方向を向いていくか”が大事になってくるんですけど、僕は自分の知っている人と仕事がしたい。ただ僕は手ぶらで人に会いに行きたくないので、なにかしなければいけないなと思っていて。たくさんの人と知り合うために考えていたアイデアの一つが、イベントを開催することだったんです。
 
この二つを考えていた時期に、写真館 4×5 SHI NO GO (しのご) の方々、パパ友で建築家の大塚さんという方々と出会って「なにかイベントやりたい」と相談を僕が持ち掛けました。これが出発点ですね。街と、人が、僕の中で繋がった瞬間でした。一人じゃなかなかできないけど、何人かと一緒になればできる。
そこから僕の同級生や、編集職の知人に加わってもらって、“第一回神田川アートブロッサム”が開催されました。
 
 
―――海田さんの気持ちがそれぞれ掛け合わさあって、“アートブロッサム”を開くことにつながったわけですね。ところでなぜ“アート”が名前に入っているのでしょうか?
 
僕自身、アートへの憧れから建築をやってる面があって。たまたま江戸川橋周辺の地域は美術館やギャラリー、写真館とかアートに関係があるお店が多かったんですね。印刷所もアートに関係がありそうですし。だから“アート”っていうのをコンセプトに置きたいな、って思ったんです。僕はアートってどんな分野でも美的な感覚を持って臨めば“アート”なんだ、と考えているので“ステキな街”っていうのもアートに通ずるものがあると思いました。
 

 
ただ賛否両論あって「チープなんじゃないか?」 とか 「もうそれってありふれてない?」 という声もありました。僕はすでにありふれているようなアートイベントにするつもりはなかったですし、やりたいからいいんじゃない? と思ってアートを名前とコンセプトに据えて、今に至りますね。
 
 

達成できたのは4分の1くらい 


 
 
―――海田さんの想いから開催されたアートブロッサムですが、“ステキな街”とはどのような街なのでしょう?
 
建築をやっている人間として、単にイベントをやって「町がどうあったらいいかな」とか「どうしたいかな」ってだけじゃつまらないと思うんですよ。だから僕としては、おもしろい人が集まってくるような街にしたいですね。
 
―――江戸川橋の緑や誇れるおもしろい魅力、おもしろい人について知ってもらって、今よりもっとたくさんの人に来てほしいということですね。
 
楽しそうにやっていれば人が集まるんじゃないかな?って思っています。
あとはコンセプトに据えているアート。普通のアートイベントは僕らにはできない。僕ら、アートコーディネーターでもアートディレクターでもないですし。でもアートにはいわゆる美術、音楽とか絵画とか彫刻とかの捉え方以外に、そうじゃない捉え方もあると思うんです。それは価値を転換するキッカケになる、っていう美の捉え方。なのでマイナーな江戸川橋周辺のエリアに、人が集まってくる“ステキな街”づくりを通して、イベント自体がアートになっていけばいいと思っています。
 
―――今回で6回目の開催となりますが、海田さんの考える理想にどのくらい手ごたえを感じていますか?
 
手ごたえね……。達成できたのは1/4ぐらいですね。
 
―――1/4。具体的な数字ですね。内訳を教えていただいてもよろしいですか?
 
僕がまだ、直接関われてないんです。この街に対して、物理的にものをつくれてないんです。それが半分くらい、2/4です。あと1/4は人が集まってきたか? といわれると、まだあんまりない。
逆に達成できた1/4くらいは、本部の我楽田工房に会えたことですね。これが一番大きいです。しんどくなってしまったときも、我楽田工房があったからやってこれました。
なので今までの5回の中では、我楽田工房が初めて協力してくれた2回目(2015年)が、印象に残っています。ワークショップをやる場所にもなってもらって、仲間が一気に増えたような気がしたんですよ。1回目や、それ以前の活動では僕の知っている人しか繋がってなかったのに、我楽田工房があることによって、ワーッと広がった感じがしました。
 

 
区外でも区内でも、いろんな人達がこのエリアに興味を持ってくれて、イベントに参加してくれたり、運営に関わってくれる人が増えたり。新しい人が来て、新しいなにかがこの街にできることがうれしいんです。我楽田工房という本部ができたからこそ、達成できたのだと思っています。
 

気負わずに楽しみたいです


 
 
―――今年はこんなアートブロッサムにしたい、というような目標はありますか?
 
今年……どうしていきたいかなぁ。
今年は僕個人が楽しみたい、ということですかね。毎年新しい人や新しい企画が楽しみだと思うのですが、長く運営しているとなかなか難しくて。去年は結局マップにあるところ、どこも期間中に行けなかったんです。
最近は我楽田工房をはじめ、仲間もできたので、最初と比べてだいぶ気負わなくてよくなってきました。重圧から解放されたというか。やっぱりやってる本人が楽しくないと、楽しいイベントにはならないと思うんです。自分だけ変に期待して、テンパって、怒鳴り散らすようなイベントじゃ自分もみんなも楽しくないですからね。今年は“はしご酒”の企画をお店側から提案されて、25日から始まるので行こうと思っていますし。
だから今年は気負わずに楽しみたいです。
 

 
あと、今6回目ですが、10回くらいはどうにかやっていきたいですね。最近何かをやるときに、5年はやらないと形にはならない、知ってもらえない、と考えているんです。仕事も、イベントも。5年くらいやると、何かが見えてくると思っているんです。
 
――――――今までの5年でやっと「アートブロッサム」の形が作れた分、今までがんばったのと同じくらい楽しみたいということですね。
 
―――最後にお聞きしたいのですが、今のアートブロッサムは、まちの大人の方が中心となって活動されています。自分自身が学生、ということもあるのですが、この先まずは10回を目指すなかで、学生は関わっていくことはできるのでしょうか?
 
学生さんとはいつも一緒にやりたいと思っています。ただ集める手が回ってないだけですね(笑)。
例えばこのパンフレット。これはいまある人脈のなかでやっているので、あまり苦労せずにできるんですよね。
でも、いまよりお店を増やそうとなると知らないお店に頼まないといけないので、そうはいきません。このお店へのお願いを学生さんにやってもらう。
パンフレットはお店から3千円いただいているんですけど、3千円はらっていただけたらこれだけのマップを作って掲載させていただきます。この企画ご一緒にどうですか?っていう営業ですね。それぞれのお店とのやり取りもあるし、パンフレット1つ作っていくのは結構な作業なので、学生さんが楽しんでやってもらえると、すごくいい勉強になるだろうなぁ、と常々思ってます。
あとはお店側から提案された“はしご酒”のように、企画を学生のほうから投げかけて一緒にやる、とか。いろいろと可能性はあると思います。
 

 

 
海田さんの想いから出発した、アートブロッサム。イベント自体がアートになればいい。とおっしゃっていたのが印象的でした。
イベントは25日から、期間中は夜の時間帯“はしご酒”も行う予定です。(開始時間は店舗によって異なります。)
また30・31日には本部の我楽田にてフリーマーケットが開催されます。周辺エリアの方や興味のある方はぜひ、参加してみてはいかがでしょうか?
 
 
神田川アートブロッサム HP
 
 

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