『子どもがごはんを食べられない日本』【インターンシップ生】

こんにちは、インターン生の、湯浅真優子です。
第1回目のインタビューは、こども食堂「だんだん」を営まれている、近藤博子さんです!
地域の子どもたちが一人で来ることができる第三の場「だんだん」は、こどもの孤食の解決をテーマに活動されています。近藤さんが、地域の子どもに寄り添い続ける理由とは?
それではご覧ください!

きっかけは、バナナの子

大阪府高槻市で中学1年生2人が殺害される事件が起こった。府警は死体遺棄容疑で寝屋川市の男を逮捕した。

湯浅:先日、大阪府の寝屋川市で事件が起こりましたが、近藤さんはこの事件についてどう感じますか?

近藤さん(以下敬称略): 被害者の2人のことはすごく残念ですが、中学1年生が夜遅くに出かけても大丈夫だった家庭環境がとても気になります。
親や周りの大人たちが子どもを見守る、そんな当たり前の繋がりが欠けてしまったのではないでしょうか。

子どもを取り巻く環境は、国や社会情勢によってもさまざまで、国家の政策だけでは手の届かない位置にいる子どもたちも多い。そんな時、地域社会で助け合うことができれば、問題は解決へと前進する。

近藤博子さんは、”孤食”でいる子どもたちに地域の大人が寄り添う場として、東京都大田区で、こども食堂を始めた。 蓮沼駅から徒歩1分、野菜のフェルトで飾られた、「だんだん」ののれんが目に入る。

湯浅:こども食堂を開こうと思ったきっかけは何ですか?

近藤:5年前、私の子どもが通っていた近所の小学校の副校長先生とお話ししていた時、朝から夜までの食事がバナナ1本だけという生徒がいると、ふと聞いたことがきっかけでした。
仕事や病気などの都合で食事が作れなかったり、時間通りに子どもを学校に通わせることができなかったりする親御さんが今増えているそうです。
でも、今どき食事がバナナ1本なんて子がいるのかと、すごくショックで、思わずボロボロと涙が溢れてしまいました。この日本で、そんなこと想像もしてなかったですから。

湯浅: モノが溢れかえっている世の中ですものね。
私もアルバイト先の飲食店で廃棄される食べ物の多さにいつも驚きます。

近藤: 日本は先進国であるし、どこに行っても食べ物に困ることなんてないと思っていました。
しかし、たとえお金を渡されても、ちゃんとしたご飯を買うということを教わっていないので、どうしても食事がおろそかになってしまうのです。
そこで、学校の先生がおにぎりを握って、朝、その子を迎えに行ったり、学校に来たらまず給食を食べてもらったりと、先生方も色々な努力をされていると聞きました。

湯浅:学校の先生がそこまでしているなんて、知らなかったです。

近藤:同じ学校の先生の間でも、そこまでする必要あるのかと賛否両論あったそうです。
でも、それは、本当は地域での支えが必要なことだと気が付きました。そこで、このスペースを使って何か食べることができたらいいなと思い、パン屋を経営している仲間やNPO 法人の仲間などさまざまな人に相談しました。

湯浅:仲間は、その話を聞いてどのような反応でしたか?

近藤:それはやったほうがいい!素晴らしいね、と共感してくれました。
……ですが、誰が作るのか、値段はいくらにするのかなど、具体的な話はすぐに出てこず、こういった活動の先例もなかったので、何もしないまま1年半が過ぎてしまいました。
特に、値段に関しては、無料にしてしまうと、本当に私たちが食べて欲しい子どもたちに食が届かないため、やり方を考えなければなりませんでした。
そうこうしている間に、こども食堂を開くきっかけになったバナナの子は、児童養護施設に入ってしまったという話を聞き、1日も早く食堂を開かなければと、急いで準備しました。そして2012年8月の終わりから始めました。

こども食堂、ついにはじまる

湯浅:試行錯誤してきた末に形となったこども食堂ですが、オープン日の気持ちはいかがでしたか?

近藤:オープン日までに、チラシを作って近所のお母さんたちに配っていたので、孤食になりそうな子どもに声がかかればいいなと思っていたのですが、本当に子どもたちが来てくれるのか不安でした。
でも、ふたを開けてみれば、かなりの数の子どもが来てくれてとても嬉しかったです。子ども同士で誘い合って来ていたようでした。
子どもたちの中には、親の帰りが遅い子やシングル家庭の子などがいたかもしれません。でも、子ども食堂に来た子どもにどうしてここに来たのかは聞きません。たまたまここに来た、それを受け入れる、それでいいと思っています。

湯浅:ここに来るのは小学生がほとんどですか?

近藤:中学生の子もいましたが、小学生がほとんどです。初対面同士でも、初めは恥ずかしそうに喋っているのですが同じテーブルで食事を一緒にするうちに自然と会話が生まれて、打ち解けているようです。
親子で来てくれることもあります。お母さんの息抜きになっているようです。
1人でいるお年寄りがいれば、もちろん声をかけます。

湯浅:数はまちまちですが、さまざまな年代の人が来るのですね。とても賑やかで楽しそうな場面が浮かんできます。
近藤さんは、子どもの通っていた小学校がきっかけで、副校長先生とつながりができ、こども食堂を開くことにつながりましたが、母親として、子どもの孤食というのは違った目線で考えさせられるものですか?

近藤:その時期には自分の子どもはもう小学校には通っていなかったのですが、私がずっと仕事をしながら子育てができたのは、保育園や仲間など地域に助けられたのがすごく大きかったので、ある程度子どもの手が離れたら地域に恩返しのようなものをできたらいいなというのはありました。
だんだんでは、こども食堂以外にもボランティアでワンコイン寺子屋や手話カフェなどを行っていますが、それもこの想いからです。

P1250845給食の献立表が思い出される「だんだん」の予定表。毎日イベントが開催されています。

テーマは、おふくろの味

P1250845

P125084530分もしないうちに無くなる料理

湯浅:母親目線というよりは、地域目線での活動なのですね。一か月の間にぎっしりと埋まっている予定に驚きました。だんだん を開く前は何か別のお仕事をされていたのですか?

近藤:私、実は歯科衛生士なんです。
今もときどき働いているのですが、一旦辞めて、自然食品を取り扱うお店で働いたり、保健所で働いたりしていました。保健所のつてで、週末のみ野菜の配達を手伝うことになり、今もその野菜を店頭で取り扱っています。

湯浅:だんだん が作っている献立を拝見しましたが、お野菜が多いですものね。 このようなメニューはどのように決めているのですか。

近藤:こども食堂は仕入れている野菜を無駄にしないようにするための意味合いもあるんです。
もともとは、栃木県の益子で栽培されていた無農薬の野菜を農家から直送していただいていたのですが、3.11以降は宮崎の農家さんから直送していただいています。
メニューは、当日ボランティアさん6~7人で、その時ある材料で考えて作ります。
このような活動を知って、お米など送って下さる方もいるのでとても感謝しています。食堂で出す料理は決して豪華なものではなくて、近所のおばちゃんが、一人でご飯食べるならうちで食べなよ、というような夕食を作っています。

湯浅:ごちそうというよりは、温かみのある、おふくろの味のイメージですね。 ボランティアというのは近隣の方たちの集まりですか?

近藤:近所の方もいますが、そうではないひとが多いです。声をかける時、この活動を、すごいね、素晴らしいね、と言ってくれる人はいるものの、手伝ってくれる方はわずかです。むしろ、遠方にいる方のほうが、この活動を応援してくれていますね。

湯浅:なんだかこんなに近くで活動しているのに、寂しいですね。所詮は、こどもの孤食など他人事、と言われているような気持になってしまいます。

近藤:校長先生もおっしゃっていましたが、自分の子どもがよければそれでいいという家庭が多くなったようです。
昔もそういう家庭はありましたが、今はそれと比にならないくらい増えた気がします。

湯浅:私の住んでいる地域でもなかなか地域のコミュニティとしてのつながりをあまり感じられません。
近所に公園があり、8月の半ばになると盆踊りが開催されるのですが、ボランティアによる屋台が本当に少なくなり、来ているのは太鼓を習っている子と本当に小さい子ばかりです。わたしが小学生の頃はかなりにぎやかだったのですが。
地域に参加する方法もいまいちよく分かりません。 でも、近藤さんと話していて、家族や親せきの次にあるコミュニティとしての地域の大切さを強く感じました。
地域社会に参加するのが億劫なのは結構重要な課題なのかもしれませんね。

近藤:子どものいる家庭を応援する政策って今すごくありますが、使いやすいものと使いにくいものってあるんです。
そういう現状で周りに頼れる人がいないのは、本当に考えなければならない問題だと思います。

湯浅:近藤さんは、ずっとお仕事されてきて今もこうして活動されていますが、そのエネルギーとなる源は何でしょうか。

近藤:ニュースで子どもの事件を見たり聞いたりして、子どもがひとりでいるということに、居ても立っても居られないんです。
初めは右往左往ですが、強く願っていると自分が知りたいノウハウを持った人に出会えるものなんですよ。だから、そのタイミングを見逃さないことが大切です。
こども食堂では、ここに来る理由は聞きませんが、何か悩みを持っていても大人が力ずくで解決するのではなく、ただ寄り添うことができればいいなと思っています。

湯浅:近藤さん、貴重なお話ありがとうございました!

P1250845貴重なお話をしてくださった近藤博子さん。「だんだん」の前にて

おまけ こども食堂 だんだん 3周年記念におじゃましました!

店内は子どもたちで大賑わい! 本日のメニューは、カレー・野菜の餃子・ナスの煮浸し・野菜サラダ・デザートだ。お代わりは自由で、みんなもりもり食べていく。

P1250845本日(2015年8月27日現在)のメニュー。こども300円、大人500円で食べ放題

P12508453周年記念ポスター

P1250845にぎわう店内の様子。親子、兄弟で来ている人も。

3周年記念日ということで、バルーンアートや手品も披露され、バルーンで作られたお花の飾りを腕にはめた女の子や手品に見入る男の子に、ほっこり温かい気持ちになる。

夕方6時になったら各家庭のおばちゃんが、こども食堂やるよ〜!とのれんを出すのが夢なの、と嬉しそうに話す近藤さん。

今では、だんだんが本元となり、さまざまな地域でこども食堂が開かれたり、こども食堂サミットが開かれたりと、活動が波及している。

身体の栄養となる食事を、楽しく美味しく食べることは、こころの栄養にもなる。
この当たり前のことを通じて、だんだんは、子どもたちの居場所となっているのだ。

気まぐれ八百屋「だんだん」
東京都大田区東矢口1-17-9(東急池上線 蓮沼駅から徒歩1分)
TEL:090-8941-3458
アメーバブログ:http://ameblo.jp/kimagureyaoyadandan/
Facebook:https://www.facebook.com/otadandan

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