初心者でもわかる、オンライン研修・講義の運営心得まとめ

こんにちは。坂井です。

このご時世、オンラインでどうやって仕事を進めていこうか試行錯誤されながら毎日を過ごしている方も多いと思いのではないでしょうか。
そこで絶賛リモートワーク中の我楽田工房から、オンラインを活用しながら快適に仕事・生活を送るための方法を発信していこうと思っています。(本記事も自宅でYogiboに座りながら書いてます)

今回は、「地方創生VI*」の研修を完全オンラインで実施した際のノウハウをまとめてみました。

※世界最大の人材サービス会社アデコのグループ会社である株式会社VSNと共に昨年から取り組んでいる、エンジニアが社会課題を解決するプロジェクト

 
実は、もともとはこの研修も対面で実施する予定でしたが、コロナの影響でオンラインに切り替えました。研修や講義をオンラインでやろうと思っている方はもちろん、リアルで予定していたイベントをオンラインに切り替えたいと検討している方にも参考になればと思います。

オンライン研修・講義のポイントは3つ。

1、参加者に実際に動いてもらおう
2、コミュニケーションは双方向
3、チャットをフルに活用しよう

初心者の方でもわかりやすいように丁寧に書きましたので、わかるところは適宜読み飛ばしてください。では、参ります!

▼0、事前準備編
ポイントの説明に移る前に、まず事前準備から。

 
〜当日までに準備すること〜
1、配信ツールとコンテンツを決めよう
配信ツールとはZoomなどのこと。会社で導入しているツールを使えばいいと思います。今回の研修ではTeamsを使いました。
カメラと画面共有を切り替えながら進めることが多いと思います。「講師が話している様子や、ホワイトボードへの書き込み」を配信したいときはYoutubeのようにをカメラで映し、講義資料を共有したいときは配信ツールの画面共有の機能を使います。
(講義資料を投影したスクリーンをカメラで映す方法もありますが、画質の問題で読みずらいことが多いので、資料の共有には画面共有機能を利用することをおすすめします)

2、資料や参加ルールは事前に共有しよう
当日使用する資料は、事前に参加者に配っておくことをお勧めします。通信環境によって画質が落ちることがありますし、画面に映っているスライド以外のスライドを見たいときにすぐ参照できるので、参加者の手元に生データがあったほうが便利です。
また、参加者はマイクミュートするとか、発言したいときはチャットに書き込むなどのルールがあればまとめてお知らせしておきましょう。

3、機材と環境をチェックしておこう
当日どのPCを用いて配信するのか、予備のPCはどれか、資料は各PCにダウンロードしたか、電源・wifiは確実に確保できるか、など確認しておきましょう。オンラインはリアルに比べて当日の不測の事態に対応できる人員が限られるので、事前にどこまで備えをできるかは鍵です。しかもチェック項目はある程度テンプレ化できるので、やって損はありません。

〜当日に準備すること〜
1、接続テストはちゃんとやろう
画面共有がうまくいくか、音声はちゃんと聞こえるか、カメラの画質はどうか、などを講師PCだけでなく参加者目線で複数デバイス確認しておくと安心です。もし不具合があれば、予備のPCに切り替えるなど事前に対策を済ませておきましょう。スマホからも参加可能な場合は、PC・スマホの両方からログインして上記確認しておくことをお勧めします。

2、飲み物を用意しておこう
しゃべり疲れた時の飲み物はマスト。あえて書く必要もないかもしれませんが、オンラインイベントは思った以上に参加者だけでなく講師も自由な環境です。特に初めての開催の場合、少しでも気が散る要素は排除して、お気に入りの飲み物や快適な空調など、リラックスできる環境を作っておきましょう。

3、休憩のタイミングを決めておこう
あえて当日準備に入れてますが、いつ休憩を挟むかは必ず事前にイメージしておきましょう。細かい当日スケジュールが無いとしても、このスライドで休憩いれるなど共有しておくといいです。

それではいよいよ、ポイント3つに移ります。

 
▼1、参加者に実際に動いてもらおう
「参加者の主体的な学びを尊重し、参加することで得られる成長や気づきを最大化する」
これはオンライン・リアルに限らず、研修・講義を提供する側の大きな使命だと思います。

そのためには、参加者が自分ごととして主体的に参加しやすい研修をデザインする必要があります。知識の一方的な伝達は受け身になりがちですし、自己投資が1番の学びになるので。

参加者が主体性を持ちやすいように大事にしていることは3つあって、「自分で考る」「自分の言葉でアウトプットする」「承認する」です。

例えば、オンラインであれば、講師からの問いに対してチャットに各自がコメントを書き込む時間を作ることで、必ず各自が「自分で考る」「自分の言葉でアウトプットする」時間をまず作ります。そして外せないのは、きちんと講師がコメントを返すなどしてそれを「承認する」こと。主体的な学びと、学びに対する承認を繰り返すことで、学びは継続します。

これはリアルでも研修以外の場づくりでも大事にしていることですが、オンラインでもこの一連のサイクルをちゃんと回すことが重要です。
明確な目的を持って主体的に参加してくださる方であれば、何も問題はありません。重要なのは、とりあえず参加して何かを学びたいと思っている参加者にとっても、主体的に学び、学びに対して承認される環境をつくることです。

まず参加者自らが考え、言葉にしてアウトプットすることで、実際に動いてもらうこと。
それに対して講師側がコメントや新たな問いを投げかけ、承認しながら共に学びを深めていくことで、より効果的な研修にしていきましょう。

 
▼2、コミュニケーションは双方向
参加者が自ら主体的に参加しやすい環境をつくることに加えて、講師・参加者の双方向のコミュニケーションも大切です。

オンラインだと、講師以外は基本ミュートにしているので、参加者が今何を考えているのか・どのように受け止めているが基本わかりません。

例えば、「この問題についてどう思いますか〜?」というような気軽な質問にも、教室以上に手を挙げづらいのがオンラインです。オンラインはリアルと違って、「場の空気感」がありません。他の参加者がどう思ってるか、講師がどんな表情・身振り手振りをしているといった、なんとなくその場にいたらお互いキャッチしあえる情報が全くわからない環境です。

リアルイベントなら「会場の雰囲気」というなんとも微妙なニュアンスを司会やファシリテーターがくみ取り、疲れが見えるのでひと休憩入れようとか、進行速度を調整しようとか、テコ入れしやすいですが、オンラインだとそれが出来ません。
オンラインは参加のハードルを下げますが、参加した後のハードルは意外と高い。そのため、参加者がどのような学びを得たかをリアルタイムで積極的に収集する必要があります。

定期的に双方向にコミュニケーションをとる時間を、意識的に作っておくとメリハリがつきます。
例えば、休憩や章ごとに振り返りの時間を設け、チャットに一斉にコメントをしてもらうとか、終了後のアンケートを次に活かすことも非常に有効です。

 
▼3、チャットをフルに活用しよう
参加者に動いてもらうこと、双方向コミュニケーションをとることのために、チャット機能が非常に有効です。

これはZoomのチャット画面のサンプルです。
チャットを使うと、ライブ配信しながらその場で参加者とやりとりすることができます。

実際の手順としては、
1、講師からの質問に対して各自チャットに意見を書き込んで欲しいことと、気軽に質問やコメントを書き込んでくれたら講師が反応することを約束する
2、はじめの簡単な質問を用意しておき、実際チャットに一回書いてみる時間をつくる(これがいわゆるアイスブレイクになります)
3、研修の途中で、講師から質問や問いを投げかけ、各自の考えをチャットに書いてもらう(質問も必ずチャットに書きましょう)
4、それぞれのコメントに対して、講師が読み上げたり話を膨らませたりする(この視点はすごく大事ですね!面白い!などの承認を忘れずに)

チャットを活用する上で特に重要なのが、研修のはじめに一回チャットに書いてみる時間をつくるところです。まずは慣れることから始め、短くてもいいから自分の考えを書き出すことを習慣にすることを目指します。
また、自分の考えがまとまらずチャットに書き込む前に話が進んでしまう、ということを避けるためには「3分待つのでその間にチャットに書いてください」など制限時間を設けるといいでしょう。

あとチャットを活用することで個人的に一番メリットだと感じることは、「参加者のやたらと長い話」を未然に防ぎやすいことです。「話は長いんだけど要点がつかめない質問や意見」は、一度文字起こししてもらう前準備を踏むことで、簡潔にできます。

例えば、いきなり回答を指名されてすぐに意見がまとまらずに話が長くなってしまったことや、自由質問コーナーで結局何を聞きたいのかわからない質問など、経験ある方も多いのではないでしょうか。
これって参加者は悪く無いのに失敗体験としてトラウマになるし、講義全体の満足度も下がるので、かなりリスクの高い現象だと思うのですが、リアルだと意外と見過ごされがちなところです。

チャットであれば、一度考えをまとめてアウトプットし、それに基づいてコメントをすることでテンパりにくいし話も簡潔になります。

▼そのほかの心得

・運営は2人いると安心
講師1人で参加者のチャットもチェックしながら回すのは結構大変なので、講師と参加者サポート役の2人で運営できると安心です。

・運営が複数人集まる場合は、なるべく離れる(それぞれのPCから参加する)
3密を防ぎましょう。

・オンラインだからこそ、記録をしっかりアーカイブ化して次に活かそう
録画できる環境であれば、映像コンテンツが残せます。都合で参加できなかった方への展開なども想定しましょう。

・ハウリング対策をしよう
同じ会場に複数人いる場合は、複数のマイクがオンになっているとハウリング(音がキンキンする現象)してしまうので、しゃべる人のマイク以外はミュートにしておくことと、スピーカーはメインでしゃべる人のPC1台のみにしておくといいです。

・参加に不慣れな方には個別フォローを心がけよう
「〜さん、聞こえますか?入れましたか?」というような個別対応を講師がし始めると、場全体の進行が大きくストップする可能性があります。そのため、参加者サポート役がSNSや電話で個別に連絡を取りながらサポートをすることをおすすめします。また運営サポート役は、ミュートにしていない参加者を見かけたら強制ミュートするなども確認しておくといいです。
通信環境や参加するデバイスなどの影響で、うまく入れない場合もあるため、どうしても無理な場合は諦めて後日動画を見ていただくなど、切り替えも必要です。

・顔が見えなくても笑顔を忘れずに
オンラインだからと言って、無機質なコミュニケーションになってしまったら元も子もありません!オンラインだからこそ感情豊かなやりとり、細かな配慮を心がけ、参加してよかったと思っていただけるような場づくりを目指しましょう。

この日の研修内容に、「イノベーションとは発明することではなく、広げる・定着させるまでがイノベーションだ」という趣旨のお話がありました。

今後リモートワークやオンラインミーティングなどが当たり前になり、オンラインツールもさらなる開発と普及が進むと思いますが、一部のリテラシーの高い人達しか扱えないのでは意味がありません。地域の高齢者や主婦、子どもたちも一緒にオンラインで活動していけるような体制を作って行くことが求められています。

私たちとしても、研修をオンラインで実施したり、地域との対話ツールであるローカルダイアログを絶賛オンラインで出来るよう開発進めていたりしますが、何よりオンラインで地域の可能性を膨らませていくために活動していきたいと思っています。

▼対話でウェルビーイングなまちづくりを目指す「Local Dialogue」
http://ld.garakuta.tokyo/

自分たちが適応するだけでなく、共に社会を変えていきましょう!
いよいよ緊急事態宣言も発令されましたが、うまくオンラインで繋がりながら力を合わせて乗り切っていけるはずです。

オンライン企業研修やローカルダイアログにご興味のある方は、お気軽にご連絡ください!
オンラインで何かやってみたいというようなご相談もお待ちしています。

問い合わせ先:坂井(sakai@bono.co.jp)