徳島の田舎で育った私が、東京で地域創生の活動をするようになった理由
はじめまして。
ボノのインターン生の中野美優です。
今回は、どうして徳島の田舎で育った私が東京で地域創生の活動をするようになったかを書きます。
私は、徳島県那賀郡那賀町という高知県との県境に位置し、森林率が95%の山間地域で育ちました。面積は徳島県下で二番目に広い自治体ですが、人口は8000人ぐらいの町です。
中学生のころから、保育士になりたいというぼんやりとした将来の夢がありました。
しかし、高校2年生の時に担任の先生との面談がきっかけで、地域創生や地域活性化ということに興味を持ち始めました。
祖母が旅館をしており、だんだんと宿泊客が少なくなっている状況や、小学生のいとこの同級生が私のころの半分ほどになっていること、近くのお店が閉店したことなど、自分の周りの状況を改めてみてみると、地域の衰退が見られ、危機感を感じました。
このころから、大学では保育の勉強ではなく、地域創生の勉強ができる学部に進みたいと思うようになりました。
それから、高校生で地域について考えるイベントや、徳島県で活動されている人の講演会、徳島大学と那賀町が行っている地域再生塾に通い始めました。
地元で行われていた地域再生塾は、平均年齢が60歳を超えるような集まりで、若者は高校生の私が一人でした。地域で何かイベントすることや、変えていくことの難しさや、若者がどれだけ必要とされているかが分かりました。
高校三年生の時には、現在在学している大正大学の地域実習に参加させてもらいました。
高校の近くのシャッター商店街となってしまっている通りの活性化について、大学生と1カ月半一緒になって考えました。
活動の中で、地域外の人が地域にかかわるときにメリットもあれば、地域側と地域外の人の考えの差によるデメリットも多くあるということが見えてきました。
徳島から東京へ
大正大学地域創生学部に入学し、現在2年が経過しました。
大学では、経済学を基盤とした地域活性化について主に学んでいます。
1年生の6月ごろから、大学内での勉強や周りの環境に違和感を覚え始め、学生団体SUKIMACHIでの活動を始めました。SUKIMACHIは地元(すきなまち)を発信する学生を増加させ、若い世代の「遊ぶ、働く、暮らす」選択肢を広げることを目的とした学生組織です。SUKIMACHIには、地元で何かしたいと考えている学生がいて、とても心強かったです。
大学のカリキュラムでは、ある地域実習で1カ月半新潟に滞在しました。
普段、大学生になると怒られることや、誰かとけんかするということもありませんでしたが、「この地域を元気にしたい」という共通の目的があると、本気でぶつかってきてくれる地域の人から厳しくも優しいアドバイスをいただいたり、友人と思ったことを言い合い、衝突することもありました。1カ月半じっくりその地域について考えたからこその経験であり、1年生の時に経験できるというのは私の学部の強みであると感じました。
実習を通して、地域で様々な活動をしている人に出会うことで、地方で働くということに対するあこがれが増しました。
現在は「どうすれば地元に関心を持つ、好きになる若者が増えるのか?」ということに興味があります。
私が1番初めに地元について考えるきっかけになったのが、小学校での総合の授業でした。
小中学校の総合的な学習の時間をうまく使うことで、普段なにげなく過ごしている地域に興味を持つきっかけを作れるのではないかと考えています。
去年の11月には、とくしま回帰アンバサダーに任命していただきました。
若者が徳島に帰りたい、働きたいと思えるような情報発信など東京にいながら徳島に貢献できるような活動をして行きたいと思います。
ボノとの出会い
SUKIMACHにまち冒険の募集が来て、「面白そう!」と思い、1年生の12月に島根県益田市のまち冒険に参加しました。
まち冒険とは大学生が地域に行き、地域住民の取材をすることで地域の資源の可視化をし、自分がどのように地域と関われるかを提案したり、取材記事をまとめるプログラムです。
地域の人の話を聞き、そこから見えてくる課題に対して大学生としての提案をするという大学の実習と似ていることをしているのに、様々な専門性を持った学生や地域で活動されている谷津さん(ボノ株式会社 取締役)と話すと、普段とは全く違う返答が帰ってくるのが新鮮で面白かったです。まち冒険に参加したことにより、地域に対する自分のかかわり方について考えさせられました。
1年生の末に2カ月間ある春休みをどう過ごすか考えていて、インターンをしようと決めました。4社ほど話を聞かせてもらいましたが、ピンとこず……。
そんな時に、谷津さんからボノでのインターンの話を聞かせてもらい、私の価値観が変わったまち冒険のような活動に関われること、谷津さんをはじめとするボノの方々や他のインターン生と働けることにとてもワクワクしたのを覚えています。
普段は、メールでの営業や自治体の取り組みを調べること、まち冒険の記事を編集するなどが主な仕事で、地域での活動の第一歩をつくっていると思い、やりがいをもって働いています。
Society5.0に感じた可能性
地元でしていた活動や大学の勉強、地域創生を勉強していると暗い話がほとんどで、自分の中で、勉強するにつれ、地域創生に対して暗いイメージに変わっていてしまっていました。そんな時にボノメンバーの坂井さんにオススメしてもらい、『Society5.0 人間中心の超スマート社会』という本を読みました。
Society5.0の世界では、地域・年齢・性別・言語等による格差がなくなり、今まで課題といわれていたことがビジネスチャンスになります。特に、都市よりも地方の方が弱いとされているITの分野では、地域内において可能性があるとこの本を読んで確信することができました。
自治体には、課題の分析、自治体の魅力向上、全体構想や戦略の立案など、求められることが山積みになっています。それは、行政だけで担うには限界があり、行政と民間、住民がパートナーシップを組み、まちの将来を語り合う場が必要となってきます。
そして、Society5.0のまちづくりを進めるには、住民目線になってまちの課題に対してIoTを駆使することができるエンジニアの存在が不可欠であると感じました。
この本を読んでも、Society5.0のすべてを理解できたわけではありませんが、テクノロジーを活用することによる可能性について知ることができ、もやもやしていた私の心に光が差したような感覚がありました。
これから
大学3年生になり、1か月間の地方での実習の内容、卒論、就活など考えなくてはならないこと、決断しなければならないことがたくさん出てきます。そうなったときに自分の軸となるものはなにかということを明確にしていきたいと考えています。
これから、地方創生VIにも関わらせていただく中で、大学で勉強していることや、いろいろな地域に行って感じたこと、自分が外部の人を受け入れる側だった時の経験を活かしたいと思います。また、大学生という立場から地域に対してできることについて考えていきたいです。