自己紹介、と我楽田工房がこれから考える「公共」というものについて

こんにちは、2月から我楽田工房に入った齋藤です。

僕の我楽田工房でのミッションのひとつは、我楽田工房をどうしていくかという考えを表現することです。

今回は僕の自己紹介を兼ねて、これからの我楽田工房の進む方向を言葉にしたいと思います。

それはプログラムで言う【我楽田工房Ver.2.0】です。

我楽田工房は「公共」をテーマにしたメディアを目指します

a61027cfa1e71298d7f096d82e59f649

最近注目されている「コミュニティ」と言う言葉。僕もいろんなところで使いますが、我楽田工房ではコミュニティよりも一歩進んだところを目指して進んでいきたいと思います。それがどんなものかを社内でディスカッションしてみた結果出てきた言葉が

公共(パブリック)」

です。

今回はこの「公共」という言葉をもう少し噛み砕いて説明します。

「公共」って何?

僕がパブリックというテーマを意識するようになった話を、自己紹介を兼ねてしようと思います。

最初に意識したのは日本仕事百貨 [icon-blank]という会社とgreens.jp [icon-blank]というNPOが共同で実施した社会実験「リトルトーキョー [icon-blank]」という活動です。これは一言で表現すれば「大人版キッザニアを作ろう」というもの。

当時東京の虎ノ門にあったリトルトーキョーという名前の、お寿司屋さんをリノベーションしたスペースを仮想の都市と見立て、会員である市民たちはそこで好きな肩書を名乗ることができます。

市民にはそれぞれ「何かやりたいことがあるけれど、実現できていない大人たち」が多く集まりました。そのためリトルトーキョーには、

「ギャラリーをやりたい」
「ラジオをやりたい」
「独自の通貨を流通させたい」

などなど、みんなのやってみたいことが集まりました。リトルトーキョーでは毎週水曜日に市民議会を開いて、様々なルールを自分たちで決めていきました。
すると「みんなのやりたいことを実現するには、どうしてもみんなのために働く人が必要」という事態に直面しました。

ギャラリーやイベントをするなら誰が次に使うのか管理する人、
通過を流通させるならどれだけの通貨が流通しているか管理する人、
やりたいこととやりたいことが衝突したら調停する人、

これってお役所じゃない?

この時が、僕が「パブリック(=公共)」を初めて意識した瞬間でした。つまり「みんながやりたいことを実現するにはパブリックな機能を果たす人が必要」ということです。

役所なんか大っ嫌い、だった。

多くの人が嫌いなように、僕もお役所が嫌いです。面倒な手続きに、よくわからないルール。書類は多いし、用意する証明書もよくわからない。未だにあんまり好きではありません。

ただこの経験があったので、役所も必要なんだな、と思うことができるようになりました。

一方で役所の力不足が発生しているのもまた、現代の問題です。少子化・高齢化・空き家・耕作放棄地・森林の疲労etc...

今までであれば「役所が解決する」問題だったものが、問題の原因の深さや広さから「役所だけでは解決できない」問題になってきています。僕も青果市場という半公共的な場所で働いたり、木こりとしての活動を通じて体験してきました。

これらの問題の解決に向けて注目されているのが民間団体です。リトルトーキョーを運営していたgreens.jp [icon-blank]はNPO法人として、ソーシャルグッドな活動を紹介することで問題の解決策をアーカイブ化しています。

他には、東京の台東区谷中にあるHAGISO [icon-blank]という場所は「最小公共施設」として地域の中で活動する場所ですが、民営です。

また日本各地に根付く神社やお寺は人が集まったり、社会のセイフティネットとして機能する公共的な役割を果たしていました。

これの活動と活動を俯瞰したマクロな視点から見れば「公共という言葉の再定義」が起こっているのではないでしょうか。

我楽田工房は「パブリック メイカーズ」として活動してみます

では公共はこれからどうなっていくべきか。残念ながら僕たちはその答えを持ってはいません。ただ、我楽田工房というスペースを持ち、まち冒険 [icon-blank]というプログラムを通じて小さいですが実験をしています。

これを一言で表現したものが
パブリック メイカーズ(新しい公共の実験室)
という言葉です。

再定義が行われている公共(パブリック)を扱うこと。
FAB LABOのメイカーズのように、トライ・アンド・エラーを繰り返す中で答えを探していくこと。

この2つを合わせた意味を持たせています。もちろんこれが絶対の正解ではありません。だから我楽田工房Ver.2.0なのです。

具体的にはこの3つをしていきます。

1.「パブリック メイカーズ」としての活動の記録
2.「新しい公共」と言えるのではないかと思った活動の批評
3.「公共」を考える時に参考になる書籍や事例の紹介

大それたものを掲げていますが、まずはできる範囲で、少しずつ進めていきたいと思います。僕自身もまだまだ学ぶべきこと、失敗すべきことがたくさんあります。ですが例え半歩ずつでも、昨日よりも良い未来を作れるように進んでいきたいと思います。