【茨城県桜川市】地域おこし協力隊着任後研修を行いました
全国で5500名ほどが活躍している地域おこし協力隊。
地域づくりを担う協力隊に期待されていることは、活動期間中に一定の成果を生み出すことと、3年間の任期を終えた後も継続的に事業を行える基盤を作ることです。3年間は国からのベーシックインカムを元手に活動できますが、その後は自らが稼ぎを作っていかなくてはなりません。
3年間の任期後に地域に定着する割合は、6割ほどと言われています。事業づくりのハードルを超えて協力隊として成果を出すためには、活動当初から4年目以降を見すえた準備を始めることが大切です。
ボノでは、これまで様々な地域で、隊員が地域の中で継続的に活動していくためのサポートを行ってきました。
茨城県桜川市では、応募者の着任前インターンシップをするところから関わっています。今回は、新たに桜川市に着任した地域おこし協力隊の着任後研修についてレポートします。
▲谷津 孝啓
ボノ株式会社 取締役COO
1983年宮城県仙台市生まれ。コミュニティデザイナー。
2014年に東京都文京区にコミュニティスペース我楽田工房を立ち上げ、都市と農村を繋ぎ新たな価値を生み出す活動を開始。Society5.0の実現に向けて人口減少・高齢化社会の課題解決をテーマとした企業研修プログラム「Social Challenger」をプロデュース。現在、全国の12エリアで活動を展開中。
協力隊の活動に必要な3要素とは
研修ではボノの谷津が講師となり、地域づくり活動の基本的な考え方について講義を進めていきます。
まずは協力隊員が自律して地域づくり活動をしていくために必要な3要素についてご紹介しました。その3要素とは、目標設定・計画作成・関係づくりの3つです。
目標設定とは、まずは目標を明確にすることで、地域の方が関われる余白を作ること。
計画作成とは、目標を具体的な事業計画として書き起こし、活動の全体像を捉えること。
関係づくりとは、地域の方々と関係性を構築することで、1人では実現できない計画への協力者を見つけること。
端的にまとめてしまいましたが、重要なのは自分1人が頑張っても成果には繋がらない、ということです。協力隊員の思いを形にしていくためにも、地域の人たちが一緒に動いてくれるような関係性を作っていくことが重要だということを中心にお話をさせていただきました。
事業計画の作り方
この日は座学で学んだことを活かして、これからの事業計画を作ることがゴールです。2月に着任したばかりの隊員田中さんにも、ご自身の計画を作って発表していただきました。
その中で出てきたキーワードが、「翻訳」です。
前職ではご自身のやりたいことを提案しても聞いてもらえないことがあったという田中さんでしたが、その理由の一つに「翻訳」の不足がありました。
どれだけ素敵な思い・やりたいことがあっても、地域の方がついて来てくれなければ実現しません。
例えば「私はこの地域にカフェを作りたい」という思いを持っていても、カフェを作りたい理由やエピソードを周りが理解できない限り、なかなか応援してもらえません。やりたいことを地域の方が理解し応援したくなるようなストーリーとして翻訳し伝えていくことが必要なのです。
田中さんの事業計画について意見交換する中で、初めはやりたいことが中心に書かれていた事業計画でしたが、どんどん地域の新しい可能性につながる計画になっていきました。担当職員からも「本人が楽しくやっていけるか不安だったが、本人にとっても地域にとってもwin-winの形が見えた」というお言葉をいただきました。
地域おこし協力隊についての住民の認知度は、高いとは言えません。ともすれば外からやって来たスーパーマンのように思われることもあります。地域で新しいことを始めようとするとなかなか住民に理解されず、話が前に進まないこともあります。
だからこそ地域おこし協力隊には何を目標として活動しているのかを伝え、原体験を自己開示し、住民が関われる余白を提示することがとても重要なポイントになってきます。
この日はまず事業計画を作ってみるところまででしたが、これから事業計画をより具体的に描き、住民と対話しながら地域を巻き込んでいけるように、我々コーディネーターとしても引き続きサポートして行きたいと思います。
我楽田工房では、自治体向けに地域おこし協力隊の着任研修や起業支援、着任前インターンシップなどを企画・運営しています。
ご興味のある方は下記までお問い合わせください。